DIYで失敗しないために!屋根塗装の剥がれ原因と正しい補修のコツ

屋根塗装は、紫外線・雨風・気温差といった過酷な自然環境から建物を守る重要な工事です。最近では、ホームセンターやネット通販で塗料や工具が手軽に手に入るようになり、コストを抑える目的でDIY塗装に挑戦する人も増えています。
しかし一方で「せっかく塗ったのに数か月で剥がれた」「一部だけ浮いてきた」「触ると粉が出る」などの失敗事例も後を絶ちません。塗装は見た目以上に下地処理と施工条件が重要であり、正しい知識がなければ早期の塗膜剥離を招く原因となります。
今回のお役立ち情報では「屋根塗装の剥がれが起こる典型的なパターンと、その補修方法、再発防止のポイント」まで、DIY経験者にも分かりやすく、かつ実務的に整理して解説します。
屋根塗装が剥がれる原因とは?よくある失敗パターン

屋根塗装の剥がれは、施工後すぐに出るものもあれば、1〜2年経ってからじわじわ表れるものもあります。
原因の大半は「下地処理不足」「塗料の選定ミス」「施工環境の無視」のいずれかに集約され、DIYでは特にこれらの落とし穴に陥りやすい傾向があります。
DIYに多い原因①|高圧洗浄・ケレン不足による密着不良
屋根の表面には、塗膜の劣化で発生したチョーキング(粉状化)や、目に見えないホコリ・カビ・旧塗料の劣化層が蓄積しています。このまま新しい塗料を塗っても、下地との密着が不十分なため、短期間で浮きや剥がれを起こすのです。とくにDIYでは、以下の工程が不十分になりがちです。
- 高圧洗浄の圧力が弱い or 水洗いだけで済ませてしまう
- サビ・旧塗膜の除去が手作業で甘くなる
- 屋根材の細かな凹凸やジョイント部分の清掃漏れ
プロ業者は、電動工具(ディスクグラインダーやケレン機)や業務用高圧洗浄機で、密着性を高める「素地調整」まで行うのが基本。DIYでこの工程を飛ばすと、どれだけ高価な塗料を使っても数カ月〜1年以内に塗膜がめくれるリスクが高まります。
DIYに多い原因②|下塗り(プライマー)不足または不適合
屋根材は表面が滑らかだったり吸水性があったりと、素材によって塗料との相性が異なります。この素材と塗料をつなぐ接着剤の役割を果たすのが下塗り(プライマー)です。以下はよくあるDIYミスです。
- 下塗りを省略して中塗りから始めてしまう
- 塗料と下地に合わないプライマーを使用している
- 下塗りの塗布量が少なすぎる or 均一でない
- 乾燥時間を守らずに上塗りを重ねた
たとえばスレート屋根には浸透型シーラー、金属屋根には防錆プライマーが必要ですが、これを誤ると塗膜が浮いたり剥がれたりします。塗料メーカーは必ず「推奨下塗り材」「乾燥時間」「塗布量(m²あたり○g)」をカタログで指定しています。これを確認せず感覚で作業すると、せっかくの施工が1〜2年で台無しになることもあります。
DIYに多い原因③|施工環境の無視(湿度・気温・乾燥時間)
塗装作業は晴れていればOK、という単純なものではありません。
気温・湿度・風・露の状況次第では、塗料がうまく硬化せず、べたつき・乾燥不良・膜剥離の原因になります。
よくある失敗例
- 朝露が残ったまま施工し、乾いたと思ったが実際は濡れていた
- 湿度80%以上の中で塗装を始めてしまい、塗膜が膨れる
- 夏の高温下で塗料が急乾し、密着する前に表面だけ固まってしまう
正しい塗装時の気象条件
- 気温5℃〜30℃、湿度85%以下
- 施工当日〜翌日が晴天(24時間以内に雨が降らない)
- 風速5m以下(飛散・ムラ防止)
また、塗装後の養生(乾燥)時間も重要で、塗布間隔を2時間以内に詰めすぎると層間剥離が起きやすくなります。
正しい補修方法と塗り直しの基本ステップ

屋根塗装が剥がれてしまった場合「全部やり直し?」と不安になる方も多いはずです。しかし、剥がれの範囲や原因によっては部分補修で対応可能なケースもあります。ここでは、適切な補修判断のポイントと、正しい塗装手順、DIYでも対応可能な道具・材料について整理します。
剥がれの範囲別|部分補修or全面再塗装の判断基準
剥がれが起きたときの対応方針は、次のように範囲・状態別に判断します。
部分補修で対応できるケース
- 剥がれが1〜2ヶ所、面積で言えば1m²以下
- 周囲の塗膜はしっかり密着していて浮き・ひび割れがない
- 下地にサビ・腐食が見られない(金属屋根の場合)
この場合、剥がれた部分をケレン→プライマー→上塗りで補修可能です。
全面再塗装が必要なケース
- 複数箇所に剥がれ/浮き/チョーキングが見られる
- 上に乗るとパリッと音がする、踏むと沈むなど下地劣化の兆候あり
- 元の塗膜がめくれ「はがせる」状態になっている
こうした場合は、全体の旧塗膜を削り落とし、最初から塗り直す必要があります。プロは目視+素手+打診+カッター試験などを組み合わせて状態を診断します。DIYでも、不安なら「全面再塗装前提で点検して、一部だけ済めばラッキー」くらいの視点で臨むと失敗が防げます。
再塗装の基本手順|下地処理から仕上げまでの流れ
塗り直しや補修では「塗る」工程以上に、塗るまでの準備が重要です。以下が基本フローです。
- 高圧洗浄 or 手洗い(全体の汚れ・粉・旧塗膜を除去)
- ケレン作業(浮き・剥がれ部を金属ブラシやサンダーで削る)
- プライマー塗布(素材に合った下塗りを適正量)
- 中塗り・上塗り(乾燥時間を守って2回塗り)
- 乾燥・養生(最低24時間は乾燥させる)
屋根の種類別に、下塗り材の選定も注意が必要です。
屋根材 | 推奨下塗り材 | 備考 |
スレート(コロニアル) | 浸透型シーラー | 表面が粉を吹いている場合は必須 |
金属(トタン・ガルバ) | 防錆プライマー(エポキシ系など) | サビ止め+密着強化 |
瓦棒・折板屋根 | 変性エポキシ系プライマー | ジョイント部の防水処理も併用可 |
上塗りには2液型ウレタン・シリコン・フッ素などを使うと耐久性が高くなりますが、DIYでは乾燥時間や塗布量の管理に注意が必要です。
DIY補修で絶対に外せない道具と材料選び
DIYで補修に挑むなら、最低限そろえておくべき道具と材料は以下の通りです。
必須工具・道具
- ワイヤーブラシ(手動・電動両方あると便利)
- 電動サンダー(浮き・旧塗膜除去用)
- マスキングテープ・養生シート(周囲の保護)
- ローラー・刷毛(細部用に2種類あると良い)
- 湿度・気温計(施工環境の確認)
推奨材料・ケミカル類
- 下地に合ったプライマー(屋根材ごとに異なる)
- 上塗り塗料(高耐候のウレタン・シリコン系推奨)
- サビ転換剤(金属屋根限定)
- 塗料メーカーの仕様書(塗布量・乾燥時間を守るため)
また、ホームセンター製品よりも、塗料専門業者や建材ネットショップの方が施工説明書や成分が詳しく記載されており、DIYミスを防ぎやすいという実利があります。
再発防止のコツとDIYの限界ライン

塗装の補修に成功しても「またすぐ剥がれてしまったら…」という不安を抱く人は少なくありません。実際、DIYでの屋根塗装は環境・設備・技術のいずれかが不足すると再発率が高くなるのが事実です。ここでは、失敗を繰り返さないための再発防止策と、DIYで対応できる限界/プロに任せるべき状況の見極め方を解説します。
長持ちさせるための塗装環境と作業管理
どんなに良い塗料を使っても「塗る環境」と「塗り方」が正しくなければ塗膜は持ちません。再発を防ぐには以下の4つを徹底してください。
① 天候と湿度の管理
- 作業気温:5〜30℃
- 湿度:85%以下が目安(湿度計必須)
- 雨予報がある日は中止。作業前後24時間以内の降雨はNG
② 乾燥時間の厳守
- 下塗り→中塗り:2〜6時間(塗料メーカー指定)
- 中塗り→上塗り:同上
- 表面が乾いていても、内部硬化が済んでいない場合あり
③ 塗布量と重ね塗りの適正
- 塗布量はm²あたり何gまたは何mlかを確認
- 「薄く何度も」はNG。指定の塗布量を守って2〜3回で仕上げる
- 塗料が余るようなら、それは薄すぎのサイン
④ 風・粉塵対策
- 風速5m以上は作業を中止
- 飛散防止シート・養生の徹底
- ホコリや花粉の多い日は避ける
これらの条件を記録しながら作業することで、次回塗装やトラブル発生時にも対処しやすくなります。
DIYで対応しきれない屋根の状態とは?
塗装の限界は「表面改修」であることです。つまり、構造的な傷みや雨水侵入が起きている場合は、塗っても意味がない/悪化させる恐れがあります。以下のような症状がある場合は、DIYによる塗り直しでは対応不可です。
- 屋根下地の腐食(踏むと沈む、歩くとパリパリ音がする)
- 雨漏りや屋根裏のシミ・カビ
- 金属屋根で穴あき・膨張による歪みが発生している
- スレート屋根で層間剥離や重ね目の割れがある
これらの状態では、部分補修しても根本的な解決にならず、むしろ塗膜の下で劣化が進行するため、屋根カバー工法や葺き替えといった構造的リフォームが必要になります。判断が難しい場合は、小屋裏の点検(雨染み)や打診(軽く叩いて音を確認)でチェックし、少しでも不安があればプロの診断を依頼しましょう。
プロに相談すべきタイミングと見積チェックのポイント
DIYでは対応しきれないと感じた場合、速やかに信頼できる専門業者に相談することが最善の手段です。以下のようなサインが出てきたら切り替え時と考えましょう。
- 補修しても2年以内に再び剥がれた
- 塗った直後に膨れ・ひび・粉吹きが出た
- 屋根全体の劣化が広がっている
- 作業負担・安全性に不安がある(特に2階屋根や勾配のある屋根)
その際の業者選定では、次のポイントを確認しましょう。
- 現地調査・点検写真付きで状態を説明してくれるか
- 塗装以外の提案(屋根カバー・葺き替え)も選択肢として提示してくれるか
- 見積書に「足場」「下地補修」「下塗り」「保証年数」が明記されているか
また、DIY失敗後の再施工では「旧塗膜撤去費用」「追加足場費」「塗料選定の見直し費」など、想定外の追加コストが発生することもあります。これらを避けるには、最初の相談段階で自分がDIYでここまでやったと正直に伝えることが大切です。
失敗から学ぶ正しい塗装と無理しない判断軸
屋根塗装は、一見シンプルに見えても、実は下地処理・塗料選び・施工環境の管理といった高度な技術と知識が求められる作業です。DIYで挑戦すること自体は否定されるべきではありませんが「塗れば終わり」ではなく、どう塗るかが仕上がりと耐久性を大きく左右することを、実体験を通じて学ぶ方も多くいます。
剥がれの原因と補修方法を整理し、再発を防ぐコツ、そしてDIYで対処すべきか、プロに任せるべきかの判断基準までご紹介しましたが、重要なのは、無理せず、現実的な範囲で施工すること。そして「必要なときに専門家に相談する」という柔軟な姿勢です。屋根は建物の命綱です。小さな剥がれが大きな雨漏りにつながる前に、正しい手順で、安心できる方法を選んでください。その一歩が、長持ちする塗装と、後悔のないリフォームにつながるはずです。
屋根塗装の悩みは「石井建装」にご相談ください!剥がれ補修もプロがしっかりサポート

屋根塗装の剥がれや補修は、DIYで解決できる場合もありますが、下地処理や施工環境の管理には専門的な知識が必要です。無理に自己判断で進めると、再発やさらなる劣化を招くことも。もし、再度剥がれが起きてしまったり、塗装後すぐに不具合が見られる場合は、プロの診断を受けることが最善です。
石井建装では、現地調査から最適な補修方法のご提案まで、専門スタッフが丁寧にサポートします。屋根塗装の不安やご相談があれば、問い合わせフォーム、メール、お電話、ショールームへのご来店でお気軽にご相談ください。
適切なメンテナンスが住まいの寿命を大きく伸ばします。ご自身でのDIYが不安な方も、まずは石井建装へお声かけください。
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