倉庫の台風対策&修繕方法|被害を最小限に抑える施工ポイント

毎年のように発生する大型台風は、倉庫や工場に大きな被害をもたらします。2025年8月末現在で、台風は12号まで発生しています。台風は屋根や外壁の破損だけでなく、内部に保管している在庫商品や機材が浸水によって損傷するケースも少なくありません。物流や生産を止めることになれば、企業活動全体に直結するリスクとなります。
今回のお役立ちコラムでは「倉庫 台風対策 修繕」という観点から、事前にできる防止策、被害後の修繕方法、業者選びの基準をくわしくお話していきます。倉庫を所有・管理する法人のご担当者様が、台風リスクに備えるための実務的なポイントをまとめました。
倉庫が台風被害を受けやすい理由

倉庫は一般住宅やオフィスビルと比べ、建物の規模や用途に起因する特有の弱点を抱えています。こうした構造的・運用的な要素が、台風時に被害を受けやすい背景となっています。
1. 屋根の面積と形状の問題
倉庫は大空間を確保するために屋根が広大で、しかも軽量化のために金属屋根や折板屋根が使われることが多いです。
その結果、以下のようなリスクをともなうことがあります。
- 強風で「浮き上がり」が発生しやすい
- 端部のボルトや接合部から破損が広がる
- 雨水が溜まりやすく、排水不良による雨漏りにつながる
2. 外壁が受ける風圧の大きさ
高さのある外壁は、風を大きな面で受け止める「帆」のような役割を果たしています。劣化した外壁材やシーリングの隙間から雨水が侵入すると、室内の湿気や腐食の原因になるのです。
とくに台風のような横殴りの雨は、通常では考えにくい箇所から浸水を引き起こします。
3. 開口部の大きさと脆弱性
倉庫は物流機能を支えるため、大型シャッターや大口の搬入口を備えているのが一般的です。
これらは台風時に以下のような弱点となります。
- 強風でシャッターがたわみ、内部に吹き込みが発生
- 浸水しやすく、床面全体が水浸しになる
- 部品破損やレールの歪みにより開閉不能になる
4. 内部資産の多さと被害の波及性
倉庫には在庫商品や製造機材が大量に保管されており、被害が建物の範囲に留まらないのが特徴です。
それによって、以下のようなパターンで被害におよぶことが考えられます。
- 浸水や湿気による商品劣化 → 数百万〜数千万規模の損害
- 機械設備の水没 → 生産ライン停止による売上損失
- 保管環境の悪化 → カビ・臭気による二次被害
5. 立地条件のリスク
倉庫は輸送の利便性を優先して「臨海部・河川沿い・低地」に建設されることが多く、立地そのものが台風や高潮に弱いケースも少なくありません。これにより、風雨だけでなく浸水・高潮被害も受けやすくなります。
倉庫の台風対策(事前予防策)

台風による被害を最小限に抑えるためには「建物の強化」+「内部の防御」+「運用面の準備」を三位一体でおこなうことが重要です。
1. 建物そのものの強化
- 屋根の補強と点検
広大な屋根は台風で最も被害を受けやすい部分です。ボルトの緩み・シーリングの劣化を定期点検し、必要に応じて増し締めや補強工事をおこなうことが基本です。金属屋根の場合は防錆塗装を併用することで耐久性が向上します。
- 外壁の防水対策
外壁材のひび割れやシーリングの劣化は、横殴りの雨を受けると一気に浸水の入口になります。定期的な打ち替えや防水塗装を実施し、とくに継ぎ目部分を重点的にチェックすることがポイントです。
- 窓・換気口の飛散防止
飛散防止フィルムや補強パネルの設置で、割れや浸水を抑制できます。
2. 出入口・シャッターの防御
- 耐風圧シャッターの導入
台風常襲地域の倉庫では必須の投資です。風圧で変形すると内部に一気に雨風が吹き込み、甚大な浸水被害につながります。JIS基準を満たす製品に更新することが望ましいです。
- 止水板・防水パネルの設置
床面浸水の多くは開口部から発生します。止水板を常備し、台風接近時には迅速に設置できる体制を整えておきましょう。
3. 倉庫内部での被害軽減
- 荷物の保管方法の見直し
パレットやラックで荷物を床から浮かせることにより、10〜20cmの浸水でも被害を回避可能。重要な在庫はさらに高所へ移動しておくと安心です。
- 機材やシステムの防水対策
電気盤や制御装置は、防水ケースに収納、もしくは高所へ移設しましょう。水没すれば操業停止に直結します。
- 防水カバー・簡易養生の準備
在庫商品には事前に防水シートをかけるなど、即応できる備蓄資材を常備しておきましょう。
4. 運用面でのリスク管理
- 台風シナリオ訓練の実施
従業員が「誰が止水板を設置するか」「どの在庫を先に移動するか」を把握しているかどうかで、被害規模は大きく変わります。避難訓練と同様に、台風時のマニュアルを周知することが重要です。
- BCP(事業継続計画)との連動
台風で倉庫が機能停止した場合、どの程度の時間で代替倉庫を活用できるのか確認しておきましょう。保険や契約物流業者との連携も含めて事前に計画しておくと安心です。
5. 設備投資の優先順位
法人としては「予算配分」が課題になりますが、台風対策は一次投資で被害額を大幅に削減できる施策です。たとえば、数百万円のシャッター更新で、数千万円の在庫被害や操業停止を防げる可能性があります。投資効果を数値で捉え、優先順位を決めることがポイントです。
台風後に必要な修繕方法
台風が過ぎ去った後、倉庫でまずおこなうべきは被害箇所の確認と応急処置です。屋根や外壁の破損を放置すれば、雨漏りや浸水が広がり、在庫や設備に二次被害がおよびます。その後は被害状況に応じた本格的な修繕が必要となり、費用規模も大きく変わってくるのです。
ここでは、台風後の初期対応から代表的な修繕内容、そして費用目安までを整理してお話していきます。
1. 初期対応
応急処置:屋根の破損部分はブルーシートで養生、外壁の亀裂は防水テープで仮補修。
浸水対応:排水・乾燥作業を早期におこなわないと、カビや在庫腐敗につながります。
2. おもな修繕内容
屋根修繕:折板屋根の張り替え、瓦屋根の葺き直し、スレートの補修など。
外壁修繕:ひび割れ補修、シーリング打ち替え、防水塗装。
シャッター修理・交換:変形や開閉不良は安全上の問題となるため交換が望ましいです。
3. 修繕費用の目安
以下はあくまでも目安ですが、費用感を把握しておくと安心です。
- 屋根修繕:50万円~300万円(規模・素材による)
- 外壁補修:30万円~200万円程度
- シャッター交換:100万円以上(大型サイズの場合)
被害範囲が大きいと「部分補修では対応不可」となるケースもあり、費用は大きく変動します。
業者選びの基準

倉庫の修繕は、規模が大きく被害が広範囲におよぶことが多いため、依頼する業者の力量が事業復旧のスピードと品質を大きく左右します。 誤った選択をすると、修繕に時間がかかり二次被害が広がったり、コストが膨らむリスクもあります。
頼れる業者を見極めるためのチェックポイントを把握しておきましょう。
1. 倉庫・工場施設の施工実績
一般住宅とは規模も構造も異なるため、法人施設の修繕実績を持つかどうかは最重要項目です。とくに、金属屋根・折板屋根・大型シャッターなど、倉庫特有の構造物を扱った経験があるかを確認しましょう。実績の有無は、施工事例や過去の顧客企業からの評価で判断できます。
2. 保険申請サポート体制
台風被害の修繕では、多くの場合「火災保険や企業保険の風災補償」が適用されます。現場写真の撮影や罹災証明との突き合わせ、見積書のフォーマット作成など、保険会社に提出する資料作りを代行してくれる業者は大きな安心につながります。単なる施工だけでなく、事務手続きまでサポートできるかを必ず確認しましょう。
3. 見積の透明性と比較検討
「一式〇万円」といった大雑把な見積もりでは、後から追加費用が発生する恐れがあります。塗料の種類・工法・作業工程ごとに明細が提示されているかどうかが、信頼度のバロメーターです。また、複数社から相見積もりを取り、内容と価格を比較検討することで、適正価格を見極めやすくなります。
4. アフター保証とメンテナンス対応
修繕後に不具合が出た際に、どの程度の保証があるのかを必ず確認しましょう。保証期間や範囲が明記されているか、定期点検や緊急時の駆け付け対応が可能かといった点も重要です。とくに法人倉庫の場合は、修繕後の不具合が事業停止につながる可能性があるため、迅速なサポート体制を持つ業者を選ぶことが不可欠です。
5. コミュニケーションと対応力
見落とされがちですが、担当者の説明力や対応の丁寧さも大切な要素です。被害状況を正しく把握して施工内容をわかりやすく説明できる業者は、結果的にトラブルが少なく、スムーズな進行が期待できます。現地調査時の態度や、質問への回答の具体性も判断材料となります。
保険・補助金活用のポイント
倉庫の台風対策として、事前に保険や補助金についての情報も得ておきましょう。いざというときに役立つ情報は先に持っておいた方が安心です。
火災保険・企業保険の風災補償
屋根や外壁の修繕費用は「風災」として保険金が下りるケースが多いです。事前に補償範囲を確認しておきましょう。
罹災証明書の取得
市区町村で発行される罹災証明がないと、保険請求や補助金申請が進まない場合があります。
自治体の補助金・助成金
耐風・耐水性能を高めるリフォームに対して、補助金が支給される自治体もあります。最新情報は自治体HPで確認しましょう。
倉庫の台風被害で困ったら石井建装にご相談ください

倉庫は台風被害を受けやすく、ひとたび浸水や屋根破損が起きれば在庫や設備に甚大な影響を与えます。大切な製品が被害に遭うと売上にも直結してしまいます。事前の点検や補強、いざというときの対応まで万全にしておきましょう。
そうすることで、事業継続へのダメージを大幅に減らせます。倉庫管理を担うご担当者様は、ぜひ早めに対策を講じてください。「どうしたらいいのかわからない」という場合や、台風被害に遭った場合には石井建装にご相談ください。
当社では、戸建てだけでなく倉庫の施工についても対応しております。現時点で気になるところがある場合には、無料点検をご利用ください。自社施工で高い提案力とスピード対応をご提供いたします。
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